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助成制度2020年2月20日

耐震基準適合証明書で住宅ローン減税の対象に!

耐震基準適合証明書

こんにちは。
今回は木造の中古住宅についてのお話です。

「念願のマイホームを、手頃な価格の中古物件で実現しよう!」とお考えの方もいらっしゃると思います。
購入にあたっては、住宅ローン減税制度もぜひ利用したいところですね。
ところが、住宅ローン減税制度では、基本的に木造住宅は築20年以内が対象になっています。
では、築20年を超えるものについては減税をあきらめなければいけないのか───。
いいえ、ある条件を満たせば、築20年超の木造住宅でも住宅ローン減税制度を受けられます。

えっ、なぜ地震コラムで住宅ローン減税の話をするのかですって?
実は、そのある条件の一つが「耐震基準適合証明書」だからです。



目次:

↓ 耐震基準適合証明書って何?

↓ 耐震基準適合証明書を取得するタイミングに注意!

↓ 引き渡し後の取得はデメリットも考慮して

↓ 耐震基準適合証明書で住宅ローン減税の対象に!・まとめ




耐震基準適合証明書って何?


耐震基準適合証明書。漢字がズラリと並んでいて、一瞬何のことか頭に入ってきませんよね。
でも「耐震基準」「適合」「証明書」と分解すると、分かりやすくなります。
要は、住宅などの建物が現在の耐震基準をクリアしていることを証明する書類のことです。
発行できるのは、建築士事務所登録を行っている事務所に所属する建築士、指定確認検査機関など。
発行してもらうためには、対象の住宅が耐震診断を受ける必要があります。
耐震診断の結果、「上部構造評点1.0以上」であれば、耐震基準適合証明書を申請できます。
もし、耐震診断の結果が耐震基準を満たしていなかったら、耐震補強工事をした上で、耐震基準適合証明書を申請することになります。
なかなか面倒なことですが、耐震基準適合証明書を取得している住宅は、築20年超の中古物件でも住宅ローン減税、登録免許税や不動産取得税の減額など様々な特例が受けられますから、中古住宅の売買では大切なポイントになることをおぼえておきましょう。


耐震基準適合証明書

耐震診断と上部構造評点については当コラムでも以前にご紹介しています。そちらもぜひご覧ください。
→ 耐震診断書の見方を知っていると、わが家の弱点がよく分かる!
→ 耐震診断で、木造住宅の耐震性を数値化する!


【耐震基準適合証明書を取得すると受けられる主な軽減措置】
住宅ローン減税(国土交通省)
登録免許税の減額(国税庁)
不動産取得税の減額(都道府県)
固定資産税の減額(市町村)
地震保険の耐震診断割引(保険会社等)
それぞれの制度は耐震基準適合証明書以外にも必要な条件があります。制度の内容、手続き方法など、詳しくは関係機関のホームページ等でご確認ください。


【住宅ローン減税の主な要件】(国土交通省HPより)
①その者が主として居住の用に供する家屋であること
②住宅の引渡し又は工事完了から6ヶ月以内に居住の用に供すること
③床面積が50㎡以上であること
④店舗等併用住宅の場合は、床面積の1/2以上が居住用であること
⑤借入金の償還期間が10年以上であること
⑥既存住宅の場合、以下のいずれかを満たすものであること(一般住宅のみ)
 ⅰ)木造    …築後20年以内
   マンション等…築後25年以内
 ⅱ)一定の耐震基準を満たすことが証明されるもの*
 ⅲ)既存住宅売買瑕疵保険に加入していること
⑦合計所得金額が3000万円以下であること
⑧増改築等の場合、工事費が100万円以上あること   等

* 築20年超の木造中古住宅の場合は、耐震基準適合証明書、住宅性能評価書(耐震等級1、2又は3であるものに限る)、または既存住宅売買瑕疵保険付保証明書が必要。



耐震基準適合証明書を取得するタイミングに注意!


ところで、この耐震基準適合証明書は、誰が、どのタイミングで取得するものなのでしょうか。
売買する中古住宅の売り主? それとも買い主? 住宅の引き渡し前? 引き渡し後? ※引き渡し=所有権移転

基本的には「売り主」が申請し、「引き渡し前」に取得する方法をおすすめします。
しかし、住宅ローン減税制度でメリットがあるのは買い主なので、“売り主に協力してもらう”という形になり、費用面での相談も必要です。

【引き渡し前なら…】


耐震基準適合証明書を取得するタイミング 耐震基準適合証明書の記入例



引き渡し後の取得はデメリットも考慮して


どうしても売り主の協力が得られない場合は、引き渡し前に買い主が仮申請を行い、引き渡し後に耐震診断と耐震補強工事を行う方法も認められています。
ただし、住宅ローン減税制度では住宅の引き渡しから6か月以内に居住することが決められています。
買い主が耐震基準適合証明書を取得しようと思うと、居住開始まで(最長で6か月)に耐震診断を受け、耐震補強工事を行い、証明書の申請をして発行してもらう…と、かなり厳しいスケジュールとなってしまいます。
しかも、引き渡し後の耐震診断で耐震基準を満たしていることが判明すると、住宅ローン減税制度の対象外になってしまいます!
また、新住所登記を行っても対象外になってしまうのです! ※新住所登記=所有権移転前に新住所へ住民票を移して住所移転登記を省略する方法
さらに、引き渡し後の取得では、登録免許税の減額も受けられなくなってしまいます。登録免許税の手続きに必要な住宅家屋証明書は引き渡し前に取得しなければならず、その申請には耐震基準適合証明書が必要なため、引き渡し後に耐震基準適合証明書を取得していたのでは遅いからです。

【引き渡し後なら…】


引渡後の耐震基準適合証明書取得では遅い 耐震基準適合証明書仮申請書の記入例



耐震基準適合証明書で住宅ローン減税の対象に!・まとめ


築20年と言えば、ちょうど新・新耐震基準(2000年基準)に改正されたあたりですね。
それ以前の木造住宅は、耐震診断を受けると、改修すべき箇所が見つかる可能性が高いと言われています。
でも、逆に言えば、ちゃんと耐震補強がされて、耐震基準適合証明書を取得していれば、物件の価値も上がろうというもの。売り主は高く売れ、買い主は住宅ローン減税等が受けられる……と、双方にメリットがあるんですね!
それだけ、住宅の耐震性は重視されているということでもあります。
木造住宅にお住まいの皆さん。
今回は中古住宅の売買という形でのお話になりましたが、売買に関係なく、
この機会にご自宅の耐震性を耐震診断でチェックしてみてはいかがでしょうか。
お金に関わることも大切ですが、何よりも家はそこに住む人の命を守るものですから。



参考:国土交通省ホームページ
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合ホームページ