ウッドピタの地震防災コラム

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耐震補強2015年7月24日

保育所・幼稚園の耐震化が、あなたの子どもの命を守る!

幼稚園・保育園イメージ

こんにちは。

地震は、いつ、どこで起きるかわからないところも怖いですね。
家族全員が家にいる時に地震が起きるとは限りません。
東日本大震災は午後2時46分に発生しました。
多くの方々が、職場で、学校で、外出先で被災しています。
その時、小さな子どもたちはどうしていたのでしょう。
もし、皆さんのお子さんが保育所(保育園)や幼稚園にいる時に
大地震が起きてしまったら?!
今回はそんな保護者の方々の目線で考えてみたいと思います。

目次:

↓ 保育所・幼稚園の耐震化率は高い? 低い?

↓ すぐ園外に避難するのが正解とは限らない。

↓ 耐震補強が保育士の冷静な判断を引き出す。

↓ 建物が無事なら保育の早期再開が可能に。

↓ 保育園・幼稚園の耐震化は大丈夫?・まとめ


保育所・幼稚園の耐震化率は高い? 低い?


皆さんは、お子さんの通っている保育所や幼稚園の園舎が震度6強の地震に耐えられるかどうかご存じですか?
震度6強という数字を挙げたのは、現在の新耐震基準で「震度6強~7に達する程度の地震で倒壊・崩壊しないこと」が建物に求められているからです。
もし、園舎が1981年6月1日より前に建てられたものなら、この基準をクリアしているかどうかを耐震診断で判断し、耐震補強を進める必要があります。施設の規模によっては本年(2015年)12月31日までに耐震診断結果を報告するように義務付けられています。


耐震診断と診断結果の公表を義務付ける法律(耐震改修促進法)
耐震診断および
診断結果の報告が必要な
保育所・幼稚園
所管行政庁の指導・助言
対象建築物
所管行政庁の指示
対象建築物
耐震診断義務付け
対象建築物
階数2以上かつ
500㎡以上
階数2以上かつ
750㎡以上
階数2以上かつ
1,500㎡以上
(2015年12月31日までに報告)

規模が小さく法律の対象にならないところがあるかもしれませんが、規模が小さいからといって地震時の危険性が小さくなるわけではありません。
耐震化については、こんな数字もあります。


保育所の耐震化率
[木造・非木造]
公立 77.1% 平成25年10月1日現在(厚生労働省)
私立 81.0%
幼稚園の耐震化率
[非木造]
公立 86.7% 平成27年 4月1日現在(文部科学省)
私立 81.0% 平成26年 4月1日現在(文部科学省)

調査年や調査の条件は異なりますが、概ね80%代まで耐震化が実施されているようです(保育所は2年前の数字ですから現在はもっと上がっていると思われます)。80%代というのは何となく高そうに思えますよね。しかし、その他の公立学校の調査結果を見ると、ちょっと心配になってきます。


公立学校の
耐震化率
種別 非木造 木造 平成27年4月1日現在
(文部科学省)
幼稚園 86.7% 92.1%
小中学校 95.6% 89.7%
高校 93.7% 80.6%
特別支援学校 98.1% 98.6%

非木造では幼稚園だけが80%代です。木造の場合も、やっと90%を超えた状況です(小中学校、高校の木造校舎も心配ですね)。
耐震化は限りなく100%に近づけたい事柄です。それも早急に!
少子化時代で園の運営が苦しいといった事情もあるかとは思いますが、自治体の補助金制度もあります。まだのところは、ぜひ耐震化に向けて頑張ってほしい!…と、保護者の方でなくても願ってしまうところです。



すぐ園外に避難するのが正解とは限らない。


保育所や幼稚園に通う子どもたちにとって、園舎の安全性はとても重要です。保育所では一人では歩けない0歳児もいるのですから、折々に避難訓練を重ねていても、いざという時に子どもたちを守りながら避難するのは大変です。
東日本大震災を体験した保育士さんの話として、「マニュアルに従って子どもたちを避難させようとしたものの、道路が凸凹になっているし、ガラスの破片も散乱していて危険だった。うちの園は地盤と建物がしっかりしているから、園舎にいるほうが安全だと判断した」という記事を目にしました。
なるほど、平常時と災害時では、周辺環境もガラリと変わる可能性がありますね。津波の心配がない地域の場合、そして火災が起きていない状況では、あわてて子どもたちを外に出すのではなく、落下物の心配のない部屋の中央に子どもたちを集めて、しばらく様子を見るという選択もあり得ます。それに、園舎が倒壊しなければ、ケガ人の発生もぐっと抑えられるはず!
そのためにも、きちんと耐震化し、信頼できる建物にしておくと、保護者の皆さんも少しは安心できるのではないでしょうか。



耐震補強が保育士の冷静な判断を引き出す。


大地震のように突然起きる災害では、すぐにお子さんのもとに飛んでいけるわけではありません。頼りにすべきは保育士さんや幼稚園の先生ですが、保育や教育のプロだって人間です。少ない人数で数十人の幼児を預かっている中、自身の恐怖心と、子どもたちを守らなくてはいけないという責任感に押しつぶされそうになるのではないでしょうか。でも、迷っている時間はありません。
そんな時に、「震度6強でも倒壊しない」という建物への信頼が、心の拠りどころになります。無我夢中のうちにも、心を落ち着かせ、より的確な判断が出せるようになります。最終的に指定の避難所に行くことになるとしても、あわてずに子どもたちを誘導できるでしょう。周りの大人に余裕があれば、子どもたちの不安もきっと軽減するでしょう。


★当社で耐震補強された保育所で、東日本大震災を体験されたスタッフの生の声をご紹介します。
 よろしければ参考にしてください。





建物が無事なら保育の早期再開が可能に。


園舎の耐震化の必要性は、第一に子どもたちと保育士さん等のスタッフの命を守ることにあります。でも、それだけではありません。実は被災後の日常に大きく関わってくるのです。
被災直後は命が助かったことだけで「よかった!」と喜べます。しかし、日が経つにつれて、否応なしに“日常”は戻ってきます。
もし、お子さんの通う保育所や幼稚園が閉鎖されたままだったら?
お子さんを預けられる場所がどこにもなかったら?
地震の後始末もなかなか進みません。お子さんを家に置いたままでは、保護者の方々が職場に復帰するのもままなりません。
保育所の建物が無事で、早期に運営を再開できれば、保護者の就労復帰に大きく役立ちます。
そして、いつもの園があり、友だちといっしょに過ごすことで普段の生活リズムに戻れば、まだまだ不安を抱える子どもたちのストレスを少しでもやわらげることができるのではないでしょうか。



保育園・幼稚園の耐震化は大丈夫?・まとめ


阪神・淡路大震災や東日本大震災などの様々な被災ケースから、子どもたちを守るのは大人たちの日頃からの心構えだと痛感しました。保育所や幼稚園は子供達の生活圏ですが、保護者や社会にもつながっています。安心を期待するのではなく、安心を作っていく───地震が起きた時に後悔しないために、保護者の皆さんもお子さんの通う保育所・幼稚園を防災の目でチェックしてみてください。私たちウッドピタも耐震補強の情報を発信して、サポートさせていただきます。




〈参考サイト〉
文部科学省 ホームページ(http://www.mext.go.jp/)
「公立学校施設の耐震改修状況調査の結果について」
「私立学校施設の耐震改修状況等調査結果の概要(幼稚園~高等学校)」
厚生労働省 ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/)
「社会福祉施設等の耐震化状況調査の結果」