ウッドピタの地震防災コラム

ホーム  >  熊本地震の復興状況。益城町の現状は?仮設住宅の今は?

地震2017年4月18日

熊本地震の復興状況。
益城町の現状は?仮設住宅の今は?

こんにちは。
2016年4月14日・16日に発生した熊本地震から早いもので1年が経過しました。
TV等でも熊本地震関連の特集が組まれ、
この災害を今一度振り返ろうとする機運が高まっています。
そこで本コラムも今回は、住宅の様子を中心に「熊本地震の現状」についてお伝えしたいと思います。
実際のところ復興状況はどうなのか。熊本の人々の暮らしは元に戻ってきているのか。
改めて確認してみましょう。



目次:

↓ ウッドピタが見た!震災直後と2017年の益城町の様子

↓ 熊本県内の損壊家屋の解体と瓦礫処理の進捗状況

↓ 仮設住宅が直面する課題

↓ 熊本地震から1年 住宅の復興状況は?・まとめ



ウッドピタが見た!震災直後と2017年の益城町の様子



次のデータは、2017年4月13日付けで内閣府が発表した、熊本地震による最新の被害状況です。
最大震度7を2度観測した熊本地震は、人や建物に甚大な被害をもたらしました。



■概要
  前震 本震
発生日時 2016年4月14日 2016年4月16日
震央 熊本県熊本地方 熊本県熊本地方
震源の深さ 11km 12km
マグニチュード 6.5 7.3
最大震度 震度7(益城町) 震度7(西原村・益城町)

内閣府情報:平成29年4月13日18:00現在より



■人的被害

(人)

場 所 死亡 重傷 軽傷
福岡県   1 16
佐賀県   4 9
熊本県 225 1,130 1,552
大分県 3 11 22
宮崎県   3 5
合計 228 1,149 1,604

内閣府情報:平成29年4月13日18:00現在より



■建物被害
都道府県名 住宅被害 非住家被害 火災
全壊 半壊 一部破損 公共建物 その他
山口県     3      
福岡県   4 251      
佐賀県     1   2  
長崎県     1      
熊本県 8,688 33,809 147,563 439 10,943 15
大分県 9 222 8,062   62  
宮崎県   2 21      
合計 8,697 34,037 155,902 439 11,007 15

消防庁情報:平成29年4月13日18:00現在より


中でも被害が特に大きかったのは熊本県益城町です。
私たちウッドピタは熊本地震が発生して間もない2016年6月と、そこから7か月後の2017年1月に、現地の状況を知るべく益城町を訪れました。以下、その時に撮影した写真です。
震災の生々しい被害と、思うように進まない復興の具合が見て取れます。




震災後の本県益城町の様子

【2016年6月】家屋が倒壊し、いたるところに瓦礫が積まれています。


矢印


震災後の本県益城町の様子

【2017年1月】半年たっても瓦礫の一部は残っており、瓦礫が片付いたところは更地になっています。





震災後の本県益城町の様子

【2016年6月】瓦礫の山と、1階部分が崩れてしまっている家屋が確認できます。形を留めている家も瓦の多くが剥がれ落ちています。


矢印


震災後の熊本県益城町の様子

【2017年1月】損壊家屋は撤去されていますが、瓦礫の山は依然として残っています。電柱もやや傾いたまま、ブロック塀も不完全、屋根の瓦もそのままの状態です。





震災後の熊本県益城町の様子

【2016年6月】家屋が傾いているのが分かる写真。奥にある鉄骨の建物も大きく歪んで危険な状態です。


矢印


震災後の熊本県益城町の様子

【2017年1月】半年後、傾いていた家屋は撤去され更地に。しかし奥の鉄骨はそのままで処理が進んでいません。




4月16日に発生した震度7の本震で建物の倒壊が相次ぎ、益城町にある廃棄物の仮置き場はすぐに満杯に。人手不足や、焼却場が一部被災し機能を失ったこともあり、写真の通り1月の時点でも多くの瓦礫が残っていました。




熊本県内の損壊家屋の解体と瓦礫処理の進捗状況



熊本地震災害廃棄物発生推計量316万トン。
これは、2004年の新潟県中越地震60万トンを大きく上回り、
2011年の東日本大震災2000万トン、1995年の阪神大震災1500万トンに次ぐ量です。
地震発生当初、熊本県はこの大量の災害廃棄物を2年以内に処理すると目途を立てました。
環境省の報告によると、2017年1月末時点での熊本県内における災害廃棄物の処理進捗率は39%、損害家屋等の公費解体進捗率は2017年2月末時点で52%となっています。
1年経った現時点で工程全体の半分近くが完了しているという現状です。
着実に前進しているとはいえまだ半分。今もなお作業は続いているのです。


【災害廃棄物の処理状況】

平成29年2月末時点

  廃棄物発生推計量(A) 処理量

(B=C+D)
    再生利用率

(C÷B)
処理進捗率

(B÷A)
再生利用(C) 処分(D)
4月~2月まで 316万t 140万t 97万t 43万t 69% 44%
  4月~1月 123万t 83万t 40万t 67% 39%
4月~12月 107万t 70万t 37万t 66% 34%
4月~11月 88万t 56万t 31万t 64% 28%
4月~10月 72万t 44万t 28万t 61% 23%
4月~9月 57万t 33万t 24万t 58% 18%
4月~8月 47万t 25万t 22万t 52% 15%

環境省 災害廃棄物処理の進捗状況(3月末とりまとめ分)より



【損壊家屋等の公費解体の状況】

平成29年3月末時点

  解体想定棟数(A) 申請棟数

(B)
解体済棟数

(C)
解体進捗率
(C/A) (C/B)
7月~3月まで 34,749棟 33,554棟 20,487棟 59% 61%
  7月~2月 33,182棟 31,405棟 17,108棟 52% 54%
7月~1月 33,131棟 29,838棟 14,570棟 44% 49%
7月~12月 33,078棟 26,393棟 11,636棟 35% 44%
7月~11月 32,608棟 23,833棟 8,569棟 26% 36%
7月~10月 28,782棟 21,769棟 6,004棟 21% 28%
7月~9月 19,165棟 4,168棟 14% 22%
7月~8月 18,097棟 2,598棟 9% 14%

環境省 災害廃棄物処理の進捗状況(3月末とりまとめ分)より




仮設住宅が直面する課題



行政が、損壊家屋の解体瓦礫処理とともに対応に追われてきたのが仮設住宅の整備です。
こちらについては地震発生から7か月後の11月14日に、熊本県内16市町村4303戸の仮設住宅が完成し、多くの人が入居を果たしました。
しかしこの仮設住宅についても課題は山積みです。
かねてから懸念されている狭さや、結露、室温、プライバシー保護など環境面での欠点に加え、避難者の孤立化がますます深刻になってきているのです。
2017年3月にはついに孤独死とみられるケースも発生しました。
益城町の仮設住宅に1人で入居していた60代の男性でした。
また、熊本県内のみなし仮設(民間賃貸住宅を自治体が借りて提供する借り上げ仮設)でも昨年8月以降、1人暮らしの40~90代の男女計13人が死亡していたことが判明。
孤独死ではなかったか調査中とのことです。
仮設住宅での生活が長引く中、入居者一人ひとりに対する見守り体制の強化が急務となっています。

2017年3月末時点で、県内の仮設住宅には約4千世帯、約1万1千人が、
みなし仮設住宅には約1万5千世帯、約3万4千人が、それぞれ入居しています。
熊本の人々が元の生活を取り戻すには、まだ時間がかかりそうです。




熊本地震の復興状況。
益城町の現状は?仮設住宅の今は?・まとめ



以上、熊本地震の今に目を向けると震災の爪痕が依然として色濃く残っていることが分かりました。
復興を進めるには関係各所で調整すべきことも多々あり、簡単に解決できることばかりでないとは思いますが、一日でも早い生活再建を祈らずにはいられません。
ただ、前向きなニュースもあります。
益城町テクノ仮設団地内には「くまもと型復興住宅」のモデルハウス3棟がオープンしました。
「くまもと型復興住宅」とは、熊本県産材を使用県内の工務店等が建設する、
良質地震に強いコスト低減に配慮した木造住宅です。
既に4千組以上がモデルハウスへ来場したとのことで、人々の住まいへの関心の高さがうかがい知れます。

それにしても改めて痛感するのは、生きていく上での住宅の重要性です。
生活の基盤である家が崩れ、瓦礫と化してしまうのは、
実生活にも精神的にもやはり相当なダメージがあるはず。
大地震はいつどこに来るか分かりません。過去の災害を教訓に、まずは住宅の耐震補強を!
備えあれば患いなしです。みなさんの大切な家族を守るために、
ウッドピタは今後も防災・減災のお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなことでもお気軽にご相談ください。