ウッドピタの地震防災コラム

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防災2019年9月30日

非常食は日常食?!   備蓄品の更新を忘れないために

非常食

こんにちは。
9月1日の『防災の日』から1か月。
この間、皆さんは何か防災対策をされましたか?
『防災の日』をきっかけに備蓄品の点検をするご家庭も多いようですね。
ところが、「非常食の消費期限(賞味期限)が切れていた!」という話をよく耳にします。
日頃はつい忘れがちになる非常食の存在。
そこで今回は、非常食の管理や購入に関する情報を集めてみました。
皆さんもごいっしょにチェックしてみてください。



目次:

↓ 「在宅避難」の場合の非常食を考える

↓ ローリングストックで非常食を無理なく入れ替え

↓ 非常食を買い足す時のヒント

↓ 非常食は日常食?! 備蓄品の更新を忘れないために・まとめ




「在宅避難」の場合の非常食を考える



今や、非常食は1週間分を備蓄するのが望ましいとされています。
でも、それは1週間分を持ち出し用のリュックに詰め込もうというのではありません。
持ち出し用は、あくまでも避難した先で1~3日をしのぐためのものです。
内閣府の発表によれば、南海トラフ巨大地震が起きた場合、
広範囲にわたって被災者が多く、避難所に全員が入ることはできないと想定されています。
そのため、家屋が安全であることが大前提ですが、
自宅で避難生活を送る「在宅避難」についても準備をしていく必要があります。


中央防災会議防災対策推進検討会議の下に設けられた南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ
南海トラフ巨大地震対策について(最終報告)より抜粋
〈超広域にわたる被害への対応 〉
●日本全体としての都道府県間の広域支援の枠組みの検討が必要
避難所に入る避難者のトリアージ、住宅の被災が軽微な被災者の在宅避難への誘導
●被災地域は、まず地域で自活するという備えが必要


自宅での避難生活を想像してみましょう。
建物は何とか無事ですが、ガス・電気・水道などのライフラインはストップしています。
自治体などからの公的な支援物資もすぐには届きません。
そこで…


①最初の1~2日は、冷蔵庫・冷凍庫の食材を使います。
停電しているので冷蔵・冷凍機能は役に立ちません。保冷剤やクーラーボックスを活用しましょう。
 パンやご飯を普段から冷凍しておくと、いざという時に自然解凍でも食べられます。

②3~7日は備蓄してあった非常食を使います。
 食品をローリングストックしていると消費期限(賞味期限)の心配がなく、安心して食べられます。
 この時、カセットコンロがあると、ガスが復旧していなくても温かい食事ができます。

「えっ? ローリングストックって何?」という方、次の章でご説明しましょう。





ローリングストックで非常食を無理なく入れ替え



ローリングストック(ローリングストーンズではありません!)とは、
定期的に非常食を食べ、食べた分を買い足し、備蓄していく方法です。
つまり、日常的に非常食も食べてしまおう!というわけです。
〈定期的〉とは1か月に1、2度が目安です。
「毎月〇日と△日」とか「毎月第〇日曜日」と決めておくと忘れません。
時にはお友だち同士集まって
ローリングストック・パーティーを開いてみてもいいですね。
非常食の味比べをするチャンスでもありますよ!
その後で、食べた分だけ買い足しをすればいいので、無理なく入れ替えができます。
それに、食べ回す間隔が短くなるので、
消費期限(賞味期限)が半年~1年程度のものも備蓄品に加えられるようになるため、
レトルト食品など普段から食べ慣れているものが災害時にも食べられるようになります。


ローリングストック イメージ

大地震などによる避難生活は、いつまで続くのかわかりません。
三日で日常に戻れるなら乾パンで我慢もできますが、
それ以上になると、食事が人の心とからだに大きく影響してきます。
いつもいつも同じものでは味気なく、食べたいものへの欲求でイライラがつのり、
やがて食欲がなくなって、元気が出なくなってしまうことも…。
非常食だからこそ、非常時を乗り切るために種類や使い方を考える必要があるのです。




非常食 を買い足す時のヒント



ここで改めて非常食の基本条件をおさらいしておきましょう。


①常温保存ができるもの
②そのまま食べられるもの、またはお湯をそそぐだけといった簡単な調理で済むもの
③消費期限(賞味期限)が長いもの


③については、非常食と言えば乾パンのように3~5年の消費期限(賞味期限)というイメージがありますが、
前述したようにローリングストックをするなら半年~1年程度でも大丈夫。
選べる食品がぐんと幅広くなり、普段から食べ慣れているもの、好きな味のものを揃えることができます。

備蓄品に意識して加えたいのは、「水分を含むもの」。なかなか水分が摂れない避難生活において重宝します。
ドリンクゼリー、レトルトのスープやおかゆといったものです。
食欲がない時でも食べやすいので、案外役立ちます。

野菜や果物の加工品(缶詰や缶ジュースなど)も忘れずに。
つい「最低限、主食とおかずさえあれば…」と考えがちですが、避難生活でも栄養のバランスは大切です。
ビタミンやミネラルが不足すると体調をくずしやすくなりますし、食物繊維が不足すると便秘になりがちです。

また、間食用のお菓子もぜひ用意しておきたいものです。
ドライフルーツやビスケット、チョコレートなど、甘いお菓子、あるいは好きなお菓子は、
被災して落ち込みがちな気持ちを前向きにしてくれます!
菓子メーカーによっては、普段食べているお菓子の保存食版を作っていたりしますから、要チェックです。

最後にもう一つ、家族構成にもよりますが、備蓄にはなるべく使い切りサイズを選びましょう。
避難生活で困るのがゴミの処理です。「大きいサイズのほうが得だから」と思って買いがちですが、
食べきれずに残してしまうとやっかいなゴミになってしまいます。


非常食イメージ

みず、非常食の準備は7日間分×家族の人数が目安です。

大地震に備えている対策
※東山=山梨県、長野県、岐阜県。東海=静岡県、愛知県、三重県。

この調査は平成29年11月現在のもので、その後、北海道胆振地方地震(平成30年9月)や山形県沖地震(令和元年6月)が起きているため、家庭における備蓄の意識はもっと高まっている可能性があります。





非常食は日常食?! 備蓄品の更新を忘れないために・まとめ


今回は在宅避難への備えとして、非常食のローリングストック を中心にご紹介しました。
買って満足してしまいがちな防災用品。
非常食の期限切れは、平穏な日常の中では「防災あるある」の笑い話で済みますが、
でもそれは私たちの気持ちが少しゆるんでいるのかもしれません。
いつ地震が起きるかわからないからこそ、日常の心構えが大切になってきますね。
さらに、在宅避難の大前提は家屋が安全であること!
わが家の耐震性についても、今一度見直してみましょう。



参考文献
(1)内閣府ホームページ 防災情報のページ
(3)NHKホームページ そなえる防災