ウッドピタの地震防災コラム

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耐震補強2017年3月30日

経営者・施設管理担当者必見!
社屋・工場・社宅の耐震補強で社員を守る!!

こんにちは。
2017年に入ってからも各地で震度3、4クラスの地震が発生しています。
関東~東北地方も、3・11の東日本大震災から6年近く経ってもまだ余震が続いている状況です。
被災地では、インフラの整備が進んでいるようですが、地域全体の復興は順調なのでしょうか。
被災地が活気を取り戻すには、地元企業の早期の事業再開が大きな原動力になります。
首都直下地震や南海トラフ大地震が懸念される日本では、決して他人事ではありません!
ということで、今回は経営者の方、施設管理担当者の方にぜひ知っておいていただきたい
企業の地震対策についてのお話です。



目次:

↓ 平日の昼間に大地震が起きたら…!

↓ 社員がいなければ事業の継続はできない!

↓ 社屋が社員の避難所になる場合もある

↓ 被災後の危機管理に必要なBCP(事業継続計画)

↓ 経営者必見! 社屋・工場・社宅の耐震補強で社員を守る!!・まとめ




平日の昼間に大地震が起きたら…!



近年、日本は大きな地震災害に何度も見舞われています。気象庁のデータによると、阪神・淡路大震災から20年余りのうちに、震度7クラスが5回(熊本地震で2回)、震度6強は13回を数えます。そんな中、「東日本大震災を除いて、大きな地震は偶然にも夜間か休日に起きている」という内容の記事を見つけたので、確かめてみました。



震度6強以上の地震発生日時(1995年~2016年) ※発生の新しい順
震央地名 発生日時 最大震度
熊本県阿蘇地方 2016年4月16日(土) 03:55 6強 熊本地震
熊本県熊本地方 2016年4月16日(土) 01:25 7
熊本県熊本地方 2016年4月15日(金) 00:03 6強
熊本県熊本地方 2016年4月14日(木) 21:26 7
宮城県沖 2011年4月7日(木) 23:32 6強 (東日本大震災の余震)
静岡県東部 2011年3月15日(火) 22:31 6強  
長野県北部 2011年3月12日(土) 03:59 6強  
茨城県沖 2011年3月11日(金) 15:15 6強 東北地方太平洋沖地震
(東日本大震災)
三陸沖 2011年3月11日(金) 14:46 7
岩手県内陸南部 2008年6月14日(土) 08:43 6強 岩手・宮城内陸地震
新潟県上中越沖 2007年7月16日(祝) 10:13 6強 新潟県中越沖地震
能登半島沖 2007年3月25日(日) 09:41 6強 能登半島地震
新潟県中越地方 2004年10月23日(土) 18:34 6強 新潟県中越地震
新潟県中越地方 2004年10月23日(土) 18:11 6強
新潟県中越地方 2004年10月23日(土) 17:56 7
宮城県中部 2003年7月26日(土) 07:13 6強
鳥取県西部 2000年10月6日(金) 13:30 6強 鳥取県西部地震
大阪湾 1995年1月17日(火) 05:46 7 兵庫県南部地震
(阪神・淡路大震災)

※気象庁ホームページ「地震データベース」検索結果より作成(2017年2月7日現在)



なるほど、ほとんどが週末等の休日か、夜~夜明けに起きています。
これが意味するのは、大勢の人がオフィスや工場などで働く平日昼間に、大きな地震を私たちはほとんど経験していないということです。東日本大震災はそれに当たるわけですが、津波による建物の流失が多かったため、「耐震」という点からすると少し特殊なケースと考えられます。阪神・淡路大震災でも多くのビルが地震の揺れに耐えきれずに倒壊しましたが、発生したのが早朝でした。都市部を襲ったあの直下型地震が昼間の就業時間中に起きていたら、人的被害はもっともっと拡大していたでしょう。
これまで平日昼間に大地震の発生が少なかったのは偶然にすぎません。
今後発生すると想定されている首都直下地震、南海トラフ大地震の範囲には、東京、名古屋、大阪といった大都市が含まれています。そこで人々が密集する平日昼間に巨大地震が発生したら、何が起きるかは経験値の低い私たちにはわかりません。わからないからこそ、企業においても日頃からの地震対策が求められるのです。





社員がいなければ事業の継続はできない!



経営者の方、施設管理担当者の方にお聞きします。
あなたの会社の社屋は、営業所は、工場は、倉庫は、震度6強の大地震に耐えられますか? ちゃんと耐震補強はされていますか? 
仕事の現場ばかりではありません。研修所や保養所も忘れてはいけませんし、社員寮や社宅の安全性はどうでしょうか。平日昼間でも、社員の家族は社宅にいます。夜には社員自身も社員寮や社宅ですごしますから、ここも見落とすわけにはいきませんね。
「そういえば、うちの社宅は古い木造家屋が並んでいるけど、大丈夫かな? 築30年だっけ?  40年だっけ?」
そんな不安にかられたら、まずは建築年月日をチェック。建築確認を1981年(36年前!)6月1日以降に受けている建物なら、新耐震基準をクリアしています。
新耐震基準では、震度6強以上の地震でも即座に倒れないことが求められています。 ただし、その後も大きな地震で被害を受けるたびに改正が行われています。木造であれ、コンクリート造であれ、自社の施設が現行の基準を満たした安全性の高い建物かどうかを耐震診断で確認し、耐震補強が必要なら早急に実行してください。
企業の地震対策は、まず社員と社員の家族の生命を守るのが最優先です。それは人道的にはもちろんですが、被災後も事業を続けていくためにも社員=人材という資源が絶対に必要だからです。
東日本大震災からいち早く事業を立て直した経営者の話で、「社員が生き残ったことで、受け継いできた技術が失われずに済んだ」という言葉が印象的でした。
次に来る地震がどのような被害をもたらすかはわかりませんが、少なくても社屋や工場、社宅が、社員やその家族の生命を奪う凶器とならないように、日頃から準備をしておきたいものです。





社屋が社員の避難所になる場合もある



耐震性の低い建物が危険な存在であるのとは逆に、耐震診断・耐震補強を経て耐震性の高い建物となった社屋等は、むしろ生命を守るガード役を担う頼もしい存在となります。さらに、地震発生後、倒壊の恐れがなく、安全が確認できたら、避難場所として提供することもできます。



帰宅できない社員の
一時的な避難所とする
・地震発生直後に、社員をむやみに移動(帰宅)させるのではなく、安全な社屋等にとどめ、情報収集に努める。
・とくに都市部では交通機関が混乱し、帰宅困難者であふれかえることが想像される。自社の社員を社屋等に待機させることで、混乱に巻き込まれたり、余震等による二次被害に遭ったり、救急活動の妨げになることを避けられる。
家を失った社員と
その家族の避難所とする
・家族ごと受け入れることで社員を安心させ、仕事を再開するモチベーションへつなげる。
一般の人々の
一時的な避難所とする
・困った時はお互いさま…と、社外の帰宅困難者や旅行者を受け入れることが社会貢献へつながる。


まず率先すべきは①ですが、それにしても、「3日~1週間分の水や食料を人数分備蓄しておく」「懐中電灯や救急医療薬品、工具等を常備しておく」など、置き場所・点検・入れ替え…と、計画的に準備する必要があります。
首都直下地震が懸念される東京都では「帰宅困難者対策条例」を制定し、企業に対しても努力義務をいくつか課しています。一例として参考にされることをおすすめします。




帰宅困難者対策ポイント



被災後の危機管理に必要なBCP(事業継続計画)



最近、BCP(Business continuity plan)=事業継続計画という言葉を耳にする機会が多くなりました。
BCPは、地震等の自然災害だけでなく、テロや事故、不祥事まで、自社が危機的な状態に陥った時に被害を最小限にとどめ、事業をすばやく再開させることを目的に策定されるもので、いわば全方位の「非常時対応マニュアル」です。
企業にBCPの策定を義務付けられてはいないものの、これから取り入れていきたい経営手法の一つとして、国や各業界団体が様々なサポートを講じています。
大企業に比べて、中小企業では導入の進み方がゆっくりのようですが、被災後の事業継続がうまくいかないと、物流の分断、働く場の喪失、さらには事業の廃止・倒産まで、ダメージがストレートに影響する中小企業ほどBCPが必要なのかもしれません。



BCP策定状況

ただ、「BCPを策定していれば地震対策は必要ない」と勘違いしないでください。地震対策を含めた防災対策とBCPは似て非なるもの。2つ揃えて、より強力になる企業の防衛策なのです。



防災対策とBCPのイメージ



経営者必見! 社屋・工場・社宅の耐震補強で社員を守る!!・まとめ



先日、弊社に「社宅の耐震補強を」というご依頼をいただきました。
それを機に、社宅や社員寮だけでなく、社屋・営業所・工場などの働く現場や、研修所や保養所といった教育・福祉施設も含めて、木造の建物については私たちウッドピタもお役に立てるのではないか、と考えています。
同時に、この地震コラムでも企業様向けに地震対策に関する情報を発信することで、耐震補強の重要性を感じていただければと思いました。
BCP(事業継続計画)でやるべきことは多岐にわたりますが、そのすべてが社員の生命が守られてこそ効果を発揮するものです。繰り返しになりますが、社有施設の耐震診断・耐震補強を進めて、社員の皆さんが安心して働ける環境づくりにぜひ取り組んでください。